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2018.07.02

巨大組織だからこそ。飽くなきチャレンジの先に見据えるオープンイノベーションの未来とは

巨大組織だからこそ。飽くなきチャレンジの先に見据えるオープンイノベーションの未来とは

日本郵便でイノベーション推進に取り組む、SENQメンターの福井崇博さん。
郵便・物流の課題をテクノロジーで変革していく、同社初のオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」も担当されています。
巨大組織の中で「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を実現した背景や、スタートアップと新たなチャレンジをするために大切にしていること、イノベーション推進に挑戦し続けるマインドの源泉について、お話を伺いました。


――日本郵便㈱入社後のこれまでのお仕事を教えてください。

福井: 2010年に新卒として日本郵便株式会社に入社。神奈川県久里浜郵便局で窓口業務の実習を1年間経験しました。
1年目の終わり頃に東日本大震災が発生したため、入社2年目に入ってすぐに東北に派遣され、移動郵便局要員として約一週間現地で働きました。

私にとってこの東北への派遣はとても大きなターニングポイントだったと思っています。

2、3年目は物販ビジネス部で郵便局グッズの企画や営業推進を行い、4、5年目は提携先であるローソンに出向させていただきました。ローソンではマーケティング本部で店舗レイアウトを検討するチームに所属し、店舗レイアウトに関係するゼロイチのテストマーケティングをいくつも同時並行で行うことを学びました。色々な部門のメンバーに参画してもらい、横串を差しながらプロジェクトを推進していくこと、ゼロイチで企画を立案・実行し、素早く効果検証を行うことを経験出来たことは、今の仕事に活きていると感じています。

6年目は出向先から戻り、郵便・物流商品サービス企画部でゆうパック事業の担当をしていました。このタイミングに社内公募で、地方創生をテーマとしたオープンイノベーションのイベントである「まちてん」に出展するプロジェクトがあり、応募しました。
しばらくは社内兼業という形で、ゆうパック事業の業務を行いながら、プロジェクトメンバーとして「まちてん」出展プロジェクトを進めていました。「まちてん」がきっかけで「日本郵便と新しいことをやりましょう!」という呼びかけに応えてくれた複数企業との間で協業案が出来てきて、片手間で協業案を形にしていくのは難しいと感じたことから、入社7年目の4月から専業として事業開発担当にしてもらいました。

専業となって一年目は、「まちてん」出展プロジェクトのリーダーをさせていただきました。「まちてん」一年目でつながった企業と新しい取り組みがいくつか出来たことで、イノベーション推進の手応えや形が出来てきたのが2016年度だったかなと思います。

このプロジェクトからいくつかの新規案件を形にしたのですが、ボトムアップで個別の新規案件をやっていくのは社内調整にすごく時間がかかりました。もっと効率的且つスピーディーに物事を進めるためには、あらかじめ会社全体を巻き込んだ仕組みづくりが必要だと考えるようになりました。

そこで2017年度に、日本郵便としては初となるオープンイノベーションプログラム、「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を企画・実行しました。このプログラムには、経営陣やミドル層を含めた社内のキーパーソンの多くがコミットしてくれて、且つデモデイの段階では、将来像を明確化し、それに向けた実証実験などの計画を発表できるレベルまで持っていく、ということを予め見据えて始めたプログラムだったので、ボトムアップではなかなかスピーディに取り組みを進めるのが難しいという課題を解消する手法としてとても有効であったと感じています。

現在は、日本郵便が社会的使命を今後も果たすために、各事業部が本当に課題だと感じていることを一緒に解決してくれる、または、日本郵便のリソースを有効活用してくれるスタートアップと一緒に新たなチャレンジをすることに最も時間を割いています。


――オープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を立ち上げられた経緯を教えてください。

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福井:「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」は立ち上げる一年以上前から準備をしていましたが、それには大きく2つ理由があります。
1つ目は、会社のトップ、経営層、ミドル層までコミットしたプログラムを行うことで、短期間でアウトプットまで持っていける仕組みをつくること。
2つ目は、日本郵便がオープンイノベーションに力を入れているということが、今の段階では、スタートアップやVCの方にあまり認知をされていないので、より広く発信していくことで、共創プレイヤーとして名乗りを上げていきたいということです。オープンイノベーションに関わるプレイヤーの中での日本郵便のプレゼンスを上げることで、イノベーション創出に関するより多くのチャンスをつくりたいと思っています。


――なぜ本プログラムをはじめとするイノベーション推進に挑戦するのですか?そのマインドやモチベーションの源泉は何ですか?

福井:2つあります。1つ目は、日本郵便をより良く変えていくことが出来れば、もっと世の中が良くなるのではないかと考えていることです。このように考えるきっかけになったのは、東日本大震災の後に派遣された東北で、現地の郵便配達員の姿を見たことでした。日本の郵便制度を作った前島密の「縁の下の力持ちになることを厭うな」や「人のために良かれと願う心を常に持てよ」という名言にもあるように、言葉では表しきれないDNAのようなものが、この会社に受け継がれているのではないかと感じました。毎日郵便をお届けすることはもちろん、郵便局で貯金や保険のサービスをご提供することもですが、前島密が残したDNAは、今後も受け継がれていくと思います。

私たちが今後もそういった社会的使命を全うしていくためには、時代の要請に応じて、新しい事業を生み出したり、改革をしていく必要がありますが、変化の激しい時代なので、「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」などのオープンイノベーションの取り組みを通して、色々な人と連携しながら新たな価値を生み出していきたいと思っています。

2つ目は悔しさです。「まちてん」で出会ったあるメガベンチャーさんに協業の相談に行ったときに、「オペレーションを抱えた大企業の若手がわちゃわちゃやってきて、結局何か出来るんだ」というようなことを言われた経験があります。悔しかったんですけど、仰るとおりだと思って。私たちだけが動いてやっているのではなく、会社全体として動いていかないといけない。なので、「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」も事業開発推進室だけで進めるのではなく、経営層から、ミドル層から若手まで、みんなで協力して、みんなで推進しないといけないと感じました。


――今後どのような活動や取り組みを行っていきたいですか?

福井:現在、「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」採択企業の4社だけでなく、複数のスタートアップ企業と実証実験やテスト導入を進めています。幸いにも期待値が高いものが多いので、これらを事業化して良い流れを作りたいと思っています。また2回目のオープンイノベーションプログラムも現在準備中なので、日本郵便のイノベーション創出の手段として確立したいと思います。そして定着させたいですね。プログラム以外にも様々な取り組みを進めているので、それらも着実に進めていきたいと思っています。

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※SENQ霞が関で行われた「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 説明会」の様子


――福井さんが考えるスタートアップと大企業とのオープンイノベーションに重要だと思うポイントは何ですか?

福井:大企業のオープンイノベーション担当部署の人は、社内各部の課題を常に把握しておいて、各部が求めている技術などを持つスタートアップを探して、つなげていくと話が進みやすいのではないでしょうか。私が「すごい!」「いけてる!」と思ったスタートアップでも、各部の課題感とずれていると話が前に進まないことが多いと感じます。

色々な所と繋がって協業の話を始めるのですが、やはり大半のところとは話が進まないんですよね。何百とある中から前に進むのは年間10個くらいなので。前に進まなかったときにも、きちんとその理由を相手のスタートアップの方にフィードバックさせて頂くことも大切にしていますね。なぜこの提案は話が進まなかったのかということを可能な限り口頭レベルであってもお伝えするようにしています。

「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」のような取り組みをやると、目立つのはイノベーション部門ですが、このプログラムはロジテックに特化しているので、根幹は郵便物流の各部門のテーマ担当者が担っているし、リーガルだったり、調達だったり、広報だったり、このプログラムを実現するために社内の沢山の部門が携わってくれています。なので、このプログラムに携わってくれているメンバーが、このプログラムに関わってよかったなと思えるような仕掛けだったり、コミュニケーションが必要だと考えています。

例えば「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」では、最後に社内外の200名超の関係者をエンドロールで流しました。これは、このプログラムに携わってくれた全ての方に感謝を伝えたい、このプログラムに携わってくれた全ての方にスポットライトを当てたいという気持ちから流したのですが、この気持ちに加えて、これだけの方に携わって頂いたから「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」が出来ているんだということを社内外に伝える必要があるし、知ってもらう必要があると強く感じたために行いました。皆で取り組んでいく機運をつくることも、大きな組織がオープンイノベーションを推進していくには重要な要素なのかなと思っています。


――スタートアップであればどんな人と一緒に事業をやりたいですか?

福井:スタートアップが掲げるビジョンに共感できるかは大事にしています。但し、ビジネスですので、日本郵便の各事業部が抱えている課題を解決出来るかどうか、それが実現出来るチームなのかということは主観的に判断せず客観的にみるようにしています。
あとは、人間なので、一緒に働いていて気持ちいい人がいいですね。


――スタートアップと大企業のオープンイノベーションの未来について、こうなってほしいという理想像、こんな未来をつくりたい等があればお願いします。

福井:日本郵便も含めて、大企業側から見ると経営に数値的インパクトを与えるようなレベルまで到達しているオープンイノベーションの取組みはまだ少ないと思うので、そうした取組みがもっと増えてくれば、オープンイノベーションが当たり前の未来になるんじゃないかと思います。
個人的には、日本郵便の提供価値の本質だと思っているのですが、情報の格差や機会の格差がない未来を作りたいです。それを社内に落として考えてみると、まずは、事業開発推進室に相談に行けばなんとかなると思ってもらえるようにしたいですね。


――これから大企業で新規事業開発に取り組む方へのメッセージをお願いします。

福井:色々な場に足を運び、色々な人と繋がっていけば、ヒントもたくさん得られるし、ノウハウだけでなく、志もクリアになっていくと思います。私は、先駆者から学んだことを咀嚼して自分なりに応用しているだけで、特殊なことはなにもしていないと思っています。
ヒントは色々なところにたくさんあって、色々な人に相談しながら、考えながらやれば動けるようになると思います。SENQなどのイベントに参加することも、身近な人に相談することも良いのではないでしょうか。少しずつ輪を広げていくことが大事かなと思います。ただし、最後に考えて決めるのは自分ですし、行動するのも自分です。
私は実は、人見知りをするほうなのですが、ここ何年かでマインドも変わり、ネットワークも広がりました。また利他主義な人に多く会ったために、自分もそう動けるようになってきたと思っています。


――福井さんがSENQメンターに参画した理由を教えてください。

福井:SENQ霞が関マネージャーの佐藤さんというイントレプレナーに出会って、この人が創ったSENQという事業は絶対面白いなと思いました。大きな企業で新規事業とか新しい取り組みを行うことの最初の苦しみとハードルの高さは私もわかっていますし、それをやり遂げた方がつくったのがSENQという場なので、すごく将来性があるんじゃないかと感じました。
そのSENQに日本郵便の僕がメンターとして参画することで、少しでもSENQに貢献できるのなら嬉しいなと思いましたし、逆に面白い人たちが集まる場であるSENQを利用させて貰うことによって、僕も新たな気付きを得られたり、日本郵便の新たな事業につながるようなことが目指せるんじゃないかと思い、メンターに参画しました。


――SENQをどのように利用されていますか?

福井: お客さんを含め、色々な方とSENQを訪れるようにしています。オフィスとしての開放感もそうですが、SENQはこの一年で、行くと誰か知っている人や新しい人に出会えるという交流のハブのような場になっていて、それがすごく楽しいですね。一緒にSENQを訪れた方にもSENQのメリットを享受して頂ければと思うし、私も人を紹介する事によってまた他の人を紹介して貰えることにもなりますので。
現在、日本郵便では、社内の新規事業提案制度に登録している社員がSENQを利用させていただいています。SENQのような場で働くことで、会員やパートナーの方から色々な刺激を受けたり、会社の会議室では出てこないような新しいアイディアが生まれるかもしれません。SENQで考えた事業が一つでも二つでも事業化すればいいなと思っています。

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(インタビュー:林 知佳)

 

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